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実証主義仏教史の金字塔 『日本仏教史』 全十巻の要約版
確かな実証、面白い話題、とらわれない立場からの批評。 「日本文化と仏教の関係を論ずることは、すなわち日本文化史のすべてを論ずることになる」 という立場の著者による、日本仏教文化史の概観。
ボース自身が書きのこした言葉、ボースに親近した二人の言葉
「中村屋のボース」 として知られるインド独立革命の闘士ボース。 日本に亡命し、日本の戦争とインド独立闘争の連携をはかったその困難な一生を今に伝える記録。 ボースに親近した義弟と義母によって歿後八年に編まれた伝記文集。
好評にて品切中の『頭山満言志録』『頭山満直話集』合冊新版企画 精選直話集。頭山思想の真髄を読む。 "アジア主義の巨頭"の言葉を記録した貴重なドキュメントの集大成。 明治~大正~昭和と、政府監視人として恐れられた頭山満。伝説的存在として脚色されがちなその虚像を離れ、その真の姿と思想を伝えるために良質の直話のみを精選。
好評品切中の初版に論文二篇を増補してハードカバー化した新版 「哲学は驚きに始まり驚きに終わる」 『「いき」の構造』で知られる九鬼周造における哲学的主題「偶然性」。 主著『偶然性の問題』以降に書かれた偶然と驚きをめぐる諸論考が、九鬼晩年の到達点「偶然と驚きの哲学」という場所を示す。 それぞれが独立した一本として読める入門短篇集。
哲哲学的対決のドラマ ―― リアリティある哲学史 ライプニッツだけが深く理解しえた、そしてライプニッツこそが深く憎悪した、スピノザ哲学という世界革命。 未邦訳のライプニッツ文書を渉猟し初めて明かされる哲学者ライプニッツの生身の姿。 そして逆照射されるスピノザ革命の真価。廷臣ライプニッツは何に仕え、破門の異端者スピノザは何から自由であったのか。 生きた哲学史の新しい風。
「真実・信実・誠実」回復の日本語論 日本語の歴史的共同性再構築のための根本的な視座 風土・歴史・生活によって結晶化された言葉の実相を探り、国学の可能性の中心である「まこと」を近代的に再理論化する。初等教育から哲学まで、世阿弥、宣長から漱石まで、国民言語文化と方法論を示す類なき業績。
仏教の哲学的批評を開拓―和辻哲郎もうひとつの真面目 仏教をめぐる数々の常識を、精密な論理と鋭い洞察で覆す、和辻仏教哲学への入門論文選
文化的・政治的側面を重視した個性的な日本仏教史 日本の仏教が今このようにあるのは何ゆえか―その問いに答える いま最もポピュラーな日本仏教史の本=新潮文庫版『日本仏教史』(末木文美士著)の文献案内で「文化史的な視点から書かれた新鮮さを持つ」一般的通史と紹介されている基本的研究書です。
●ニーチェが読んで刺激されたブッダ論
ブッダ研究の世界的古典。 ブッダの歴史的存在と原始仏教の姿を文献的に立証。 1881年の初版以来名声を博し、数度の改訂を経て、英語版、ドイツ語版原典は今なおペーパーバックで読み継がれる記念碑的名著。
異色の総合的仏教入門
日本近代仏教学のパイオニアによる問題の書。 未遂のプロジェクト、仏教統一とは何か。 諸宗派対立の視点をこえて、仏教諸説の全体的構造を示す。 「八万四千の法門」をもつ仏教の森で迷わぬためのガイドブック。
日本人は一辺倒、中国人は両辺倒 (りゃんぺんとう) 現代日中文化交流のさきがけ、上海内山書店主人の漫談選集。
中国的「安全保障」感覚の根柢が四千年の庶民的生活感覚のなかに見える。 波立つ時局的表層の下を流れる民族心性の底流、中国人の「二本建て主義」とは何か。
日本人初の本格的イスラーム研究者、大川周明の遺稿
数あるムハンマド伝のなかでも臨場感に富んだ物語性ある筆致が魅力の一作。 アジア主義の志士でありかつ宗教学者である大川周明は、イスラームの原点に何を見たか。「大川周明とイスラーム」論議の展開に不可欠な遺稿の単行本化。
●西田自身の言葉による西田伝 「人生いつまでも心配苦労の絶える事がない。人生はトラジックだ。」(死の年、74歳1月2日の日記の言葉) 数々の家庭的不幸に見舞われる西田。これがあの人気哲学者の人生であったのか……。 全書簡集・日記から精選し、手紙と日記を合わせて日付順に配列。研究資料ではなく読み物となるように選択。 新版全集(2009年完結)で1.5倍の通数に増補された手紙のなかには西田の新しい横顔が見えるものも。詩歌多数収録。読みやすい現代表記を採用。
イスラーム研究の最先端 シャリーアの理論、その真の姿を明かす。イスラーム登場初期から現在まで、厳密に原資料に即して、法理論の歴史的展開と現代的課題を明快に示す、世界的第一人者ハッラークの主著。 今なおジャーナリスティックな評論の域にとどまる日本のイスラーム文明論を革新すべき研究者必読の書。
浩瀚な華厳経の全体的抄訳版 東洋的存在論=宇宙観の根源。 華厳経自体による華厳経入門。 一即一切、一切即一。 哲理の認識と実践の一致とは、宇宙の実体たる仏になるとは何事か。 ブッダ自覚の内容の戯曲的表現たる華厳経の梗概。
ユニークで明快な宗教論
なぜ 《医学と倫理》 ではなく 《医術と宗教》 なのか。 ――空前絶後の大業績 『日本医学史』 で日本医史学を確立した富士川游が説く、近代的医療観と現代的状況への根本的批判。 最新の実践科学であると同時に生命の救済行為でもある医療をめぐって、救済と技術の関係を問う。
大川周明、時代錯誤の 《イズム》 を戒める 「私を右翼と呼ぶことは正当でない。私は決して日本主義者ではない。」――アメリカ化への雷同でもなく、共産主義への帰依でもなく、反動的日本主義でもない道を唱えた大川周明。 敗戦後の再建国の思想、三度の刑務所生活と東京裁判のこと、石原莞爾や北一輝との思い出など、戦後の大川周明が雑誌で発表した文章をはじめて書籍化。
日本のアジア主義に多大な影響を与えた、中村屋のボース、闘いの主著 ①孫文らの中国革命派 ②頭山満らの玄洋社 ③大川周明らの行地社 と交わり、彼らのアジア解放思想の視野を、東アジアから広域アジアへ拡大させた、ボースの状況認識と政治的主張の全貌
デリダ、文学×哲学の頂点、ついに完訳なる―― デリダとともに、ブランショの海へ。 いま、全世界を完全に支配するに至った、アリストテレス以来のヨーロッパの思考を根柢からくつがえす、まったく新しい言葉の経験。デリダ円熟期の主著として、『撒種』、『弔鐘』とともに邦訳が待ち望まれた異色作、『境域』ついに完訳。ブランショのテクストの豊富な引用を収めた、デリダによるブランショの世界へのいざない。
近代性を卒業した美術、東西美の融合とは何か 「この道がいつかは、世界中の美術の病気をすくう先がけになる事を信じている。」(岸田劉生) 前篇…「内なる美」とは何か 岸田劉生20代。近代性の習得と離脱。 後篇…「下品の美」とは何か 岸田劉生30代。西洋美と東洋美の総合。
何ゆえにこの父子は空前絶後の存在であるのか 能を完成させた原点から、後世の硬直化した能楽を批判 役者でもあり、舞台監督でも、作詞家でも、作曲家でも、理論家でもある人間だけが至りうる境地の発見 世阿弥一辺倒になりがちな能楽論を批判、父・観阿弥の位置と意義を正確にとらえ、二人の関係性から「能とは何か」を明らかにする稀なる業績 *野上豊一郎批評集成『能とは何か』の続篇企画です
その詩作・彫刻に勝るとも劣らぬ高村光太郎の批評世界。 芸術の起原は生命そのものへの驚異感にほかならず、神に代ってこれを人間の手でつくり出したいという熱望が、ついに「芸術」を生み出した。…… この根本思想から派生する「美と生命」をめぐる約百篇の批評文。 欧米留学帰国後から死の直前まで、衣食住から社会・自然まで。 批評文でたどるその人生と思想。 ◎附・キーワード索引
敬語が日本語の一大特徴として存在するのは何ゆえか。 敬語法研究史の原点。
敬語使用の具体例と山田文法の関係から、敬語の諸法則を網羅する。 山田文法の最終版『日本文法学要論』(山田国語学入門選書1)における三大論点(語論・位格論・句論)を縦糸に、敬語の種別を横糸に織り上げられた敬語法の構造。
「花ガ存在スル」から「存在ガ花スル」へ…… イスラーム存在論の最高峰「ヒクマ」とは何か イスラームの価値観の根元をなす存在論。 我々は、そして万物は、すべてが差異的であり、すべてが等位にあり、すべてが関係的である。 モッラー・サドラー(『存在認識の道』井筒俊彦訳)が説いた「存在の優先性」論の継承と現代的展開。イスラーム文明を総体として最深部から探究し続ける黒田壽郎による、詳細な解説篇と註釈。アラビア語原典からの翻訳。
聖書で根強い人気の文語訳をコーランでも 「汝等信者よ、徹底してイスラームに入れ。サタンの足跡を追ふ勿れ。げに彼等は汝等の公敵なり。」(2-208) 宗教学者にして精神主義の論客・大川周明ならではの、リズム・風格・力強さある文語訳、そして充実した註釈で味わうコーラン。 ムーサーは「モーゼ」、イーサーは「イエス」、マルヤムは「マリア」というように聖書でお馴染みの人名表記がされており、イスラームに親しみのない読者にも違和感なく読める翻訳。
能は、演者と観客の共同演出である あの「分からなさ」が一転して比類なき魅力へと裏返る「発見」の数々。 能楽研究の開拓者の名著=主著三部作収録の全論文を、入門篇/専門篇に再構成し、各巻においてはさらにテーマで分類(役者論・奥義論・構成論・様式論・面論・謡曲論)。 初学者と玄人それぞれの「能とは何か」という問いと探究心にこたえる二冊構成。 ●曲名索引項目数 290
ドグラ・マグラ流、能入門 ―― 夢野久作、能楽関係秀作選
小説家・夢野久作が……すなわち喜多流謡曲教授・杉山萠圓が……またの名、能楽博士・ベシミ鈍太郎が語る、ちょっと怪しげな魅力あふれる能のいい話。
「地名の巨人」吉田東伍が語る、海に開かれた“連島”の物語 いまなお高く評価され続ける不朽の業績、未曾有の大辞典『大日本地名辞書』を独力で編纂した「地名の巨人」吉田東伍が、おのおの読みきりの 61 話で語る日本通史。 「時代」「人間」「場所」が揃って初めて歴史はリアルになる。――場所すなわち地理的事情が、人の思惑と歴史の流れる方向を規定する様を語る、日本歴史地理学の開拓者ならではの仕事。地理的イメージで日本史の大きな流れをつかむ、ユニークな日本史読本。
誰もの問い「真善美」。西田哲学はどう考えたか ―― もうひとつの西田哲学入門 本文中のキーワードを下段に大量に抽出して索引化。本文→ 下段見出し→ 索引→ 別の箇所の本文へ。ハイパーテキストとなる書物の新たな可能性。(*大き目の活字のゆったりした組み体裁です)
◎収録論文◎ 美の本質/真善美の合一点/美と善/真と美/真と善
日本的政治倫理の源流をたずねて 王権統一国家構築の時代に記された、日本最古の理論的政治思想文書。 仏・儒・道などの諸要素が混淆した漢文文書十七条憲法の思想を、仏・儒・道の三教に詳しい著者が、典拠および関連する古典を引用しつつ字義に即して詳しく講解。 あるいは称賛され、あるいは批判されながらも、千四百年の長きにわたり語りつがれ、いまなおその命脈を保つ、日本の社会的・政治的センスの源流。 現代語訳や読み下し文だけを示す本とは違い、1)白文漢文の原文 2)返り点つきの漢文 3)読み下し文二種(漢字一対一対応のものと、ひらがな多用のもの) 4)解説文の構成による精読志向。
洋学紳士君、豪傑君、南海先生の三人が、酒を呑みつつ戦わす、近代日本政治論議の原型。
●1965年以来現代語訳で読まれてきた、東洋のルソーこと中江兆民の代表作『三酔人』ですが、やはり名作は原文のリズムで読みたい。しかし、原文そのままではいかにも読みにくい。そこで、兆民節はそのままの「楽読原文」です。 ●「楽読原文」とは、楽に読める原文というほどのつもりの造語ですが、文字づかいや句読点の表記を変えることなどにより、「原文」と呼べる範囲内でなるべく読みやすくしようと試みたものです。ひと言でいえば「声に出して読んだら原文と同じ」だが、表記が違うということです。
「山田文法」の到達点の精髄。 近代日本語学に屹立する不滅の巨人、 「日本語に主語は必須か」論議の開拓者。 ●「かかり」とは何か?――宣長の真価を読み破り「係助詞」の分類を立て、「は」の本質を明るみに出すとともに日本語における表現の本源的な力(陳述の力)を見出して、日本文法学に一大画期をなした理論をはじめとし、日本人の思考法を「長期の歴史において規定する」文法的核心を、一書においてシステマティックに簡潔に網羅する。 ●言語には理性的な表現と感情的な表現がある事実の文法的意味を、歌で育った言語=日本語の深部からつかみ出し、「日本語に主語は必須か」論議をひらいた碩学。その文法理論のエッセンス。
「言葉」から掘り起こす日本思想史、山田国語学。 「日本語とは何ものか」をめぐる1500年史の要点。 古代から近代まで、日本語研究の歴史と主要論点・主要学説の流れを一書に示す。 漢文訓読に始まる国語の自覚、あるいは日本語の特性としてのテニヲハの発見。 仮名文字、五十音図、仮名遣い、活用、かかり…… その有機的関係がなす、国語学史という生命。 日本人はいかに日本語を自覚し、日本語となしたのか。 *下段に内容要約見出しを配し、本論の流れを俯瞰する入門書型の組体裁*
漢字+かな表記はなぜ生れたか? なぜ我々はそれを使い続けるのか? 日本人の心性と不可分の書記システムがもつ歴史性とは何か。文法論や文章論からでは分からない、文字づかいから見える日本語の特異相。 「仮名の歴史を論ずる場合に万葉仮名の実体を研究せずしてただちに仮名の論に入るがごときものは、本末を顛倒し、源流を究めずしていたずらに末流に彷徨するものといわねばならぬ」――万葉仮名の革命性を詳説。 *下段に内容要約見出しを配し、本論の流れを俯瞰する入門書型の組体裁*
初の本格的リオタール論
マルクスが、フロイトが、絵画が、声が、情動が、リオタール哲学の風に乗って飛揚する。 ――前期リオタールのキーワード=《リビドー的身体》と、後期リオタールのキーワード=《情動-文》で、リオタール哲学を横断。 附・リオタール主要著作ダイジェスト(37冊・50頁)
国家主義に堕する前の初期 「超克派」 近代の超克の核心は何か? 超近代主義は反動・逆行か? ――元祖「超克派」からの回答。 第1巻(新と旧)……新事物崇拝イデオロギー批判。 第2巻(信と善)……宗教性・解放主義・性差別論の審問。 文芸+社会批評家であり、日本初のニーチェ全集を個人完訳で果たした生田長江の「超近代派」論集。
「我こそは神を無みする者ツァラトゥストラなれ」
日本初のニーチェ全集を個人完訳で果たした生田長江。 ニーチェ諸著作のうち『ツァラトゥストラ』だけは文語調の訳文が相応しいという、生田長江あえての選択。 版元品切
ブランショ長篇小説代表作、清水徹全面改訳単行本版。
だれかが街を通りかかる。とある家から彼は手招きされたように思う。彼は扉を押す。廊下にはいりこむ。玄関口に達する。これから、彼はなにを見出すことになるのだろうか、いや、なにかを見出すことができるのだろうか? 『アミナダブ』は、こうした探求の物語、はじめから探求それ自体を疑っている物語である。
インド人が語る恰好のラーマーヤナ入門 インドとの交流が進む今、インドの代表的古典をとおして知っておきたいインド的精神の古層。 インド国内にとどまらず東南アジア一帯にも広く浸透し、バリ島観光名物の舞踏劇ケチャの題材ともなっているラーマーヤナ。 今なお日本語全訳のない浩瀚な大叙事詩のあらすじを、ボースの思想も交えながら語る、ラーマーヤナの概説書。 評伝『中村屋のボース』(中島岳志著)で一躍著名となったボースが、日印文化交流の基本として、インド的精神・思想の基層を紹介。
精神構造体としての作曲家の姿 クラシック音楽フリークの精神科医がひらく、音楽批評+病跡学(パトグラフィー)の新領野。 20世紀クラシック音楽作曲界を病跡学的に広く見渡したイントロダクションと、8人の作曲家を個別詳細に論じる8つの章。 附・各章音盤紹介。 ヤナーチェク、ロット、バルトーク、ランゴー、ペッテション、ナンカロウ、ツィンマーマン(B.A.)、シュニトケ。
日本哲学の発生を克明に描く唯一の書 「本書は日本の啓蒙哲学の形成を学問的に取扱った殆ど唯一のモノグラフィーとして永く学界に銘記さるべき労作である。」 ――丸山眞男評 平等と自由の思想、実証主義、個人主義はどのように日本に導入されたか。 先覚者の群像と近代高等教育機関の起源。 『西周哲学著作集』の編纂者による博捜の成果。
「哲学」という訳語が生まれた頃 フィロソフィアを「哲学」と訳した日本最初の哲学者西周(にし・あまね)の「百一新論」(百教一致の新論)が日本の近代化に持った意義とは何か。 西田幾多郎の京都学派に対して、東大教授として日本のアカデミズム哲学の基礎を築いた桑木厳翼。 桑木が残した論文・講演より、明治の哲学界に関する貴重な証言を選出した論文集。
人々は追放され、そして戻った。フランス語は消え、そして蘇った。 仏二言語が真に共存する地域、美しい海岸と草地と森の「失われた国」。英仏植民地争奪戦で散りぢりにされ、しかし生きかえった人々の「国なき国」におけるアイデンティティと言語権。知られざるアカディ問題を歴史と文学の二側面から紹介する初の本格的成果。 19世紀アメリカの文豪ロングフェローがエヴァンジェリンヌの悲劇の人生をうたい上げる長編詩『エヴァンジェリンヌ』と、大矢タカヤスによる現地取材を踏まえた「アカディの歴史」の二部構成。
アジア主義者大川周明の実証的歴史研究 近代世界システムあるいは資本主義世界経済500年の展開を担った、商業=軍事=国家複合体の論理と盛衰を、アジア主義者大川周明が俯瞰する。 英蘭東インド会社をはじめ、アジア、アメリカ、オセアニア、アフリカに進出した特許植民会社主要10社の検証。 満鉄東亜経済調査局の大川周明は、植民会社というものをどのように考えていたか? 論客大川周明の法学博士号論文(審査員・吉野作造ほか)。
論客大川周明、その思想の根柢 自然法則と人間生活の関係、あるいは「天地人」について。 東京裁判のA級戦犯容疑者のうち唯一の民間人だった大川周明。 その大川がこの倫理思想の持ち主であることをどう考えるべきか。 「人格的生活の原則」で自己の倫理学の要点を簡潔に示し、「誠は天の道なり、これを誠にするは人の道なり」で知られる『中庸』を大川一流の視点から読解。 一般聴衆に向けて平易に語った講義録。
当人たちの生の声からアジア主義を考える入門選集。 三つの世代、三つのテーマ構成でアジア主義の流れと論点を構造的に把握。 上巻は「第一世代」篇。
頭山満 1855-1944/犬養毅 1855-1932/杉山茂丸 1864-1935/内田良平 1874-1937 版元品切
当人たちの生の声からアジア主義を考える入門選集。 三つの世代、三つのテーマ構成でアジア主義の流れと論点を構造的に把握。 中巻は「第二世代」篇。
宮崎滔天 1870-1922/萱野長知 1873-1947/北一輝 1883-1937 *各巻独立した単行本としてお読みいただけます*
当人たちの生の声からアジア主義を考える入門選集。 三つの世代、三つのテーマ構成でアジア主義の流れと論点を構造的に把握。 下巻は「第三世代」篇。
北一輝 1883-1937/大川周明 1886-1957/満川亀太郎 1888-1936 *各巻独立した単行本としてお読みいただけます*
これまで注目されてこなかった西田哲学の一論点――「私」と「物」の関係について。
自己を世界の外に置く立場から、自己が世界の中にある立場へ、あるいは観念論と唯物論をともにのりこえる場所的弁証法。「物となって考え、物となって行なう」、我と物との「矛盾的自己同一」すなわち「行為的直観」。
哲学史の中の西田哲学、あるいは「絶対矛盾的自己同一」の発見。
まとまった哲学者論の本を書かず、一途に自己の哲学創造に邁進した西田のテクスト群から、「種々の哲学に対し私の立場を明らかにした」諸篇を集成。
他者と時間――波多野精一宗教哲学三部作集成 京都学派生成期に西田幾多郎の同僚として三木清らを育て、禅仏教の色彩濃い京都学派の空気の中で、キリスト教宗教哲学の立場を明示した不朽の三部作を一冊に集成。 哲学と宗教の深い関係を、哲学史および自己の哲学から体系的に呈示。仮面を被った自己である「他者」像を克服し、自己実現の具ではないものとしての「他者」へと向かう道を、人間存在が根源的に抱えている宗教性から探る。 それは、他者(ひと)か、客体(もの)か?――シンボルとリアリティの哲学。
西田幾多郎、田辺元、和辻哲郎、三木清。 誰が、どのように、どの程度、問題か? 西田の「無」――無の論理。田辺の「種」――種の論理。和辻の「間」――間の倫理。 京都学派の生成と展開にあらわれた、近代日本への哲学導入における諸問題、その原風景。 いまなお日本に世界的水準の哲学が育ち難いことの淵源をさぐる。 戸坂潤の京都学派批判関連論考を網羅的に集成。
イデオロギーとは何か? 基本的・原理的な考察。 時局評論の名著『日本イデオロギー論』(岩波文庫)を可能にした原理的イデオロギー論の二大主著、『イデオロギーの論理学』『イデオロギー概論』を中心に、戸坂潤のイデオロギー原論を集大成。 京都学派が生んだ唯 物論哲学者の批評理論の真髄。 単なる悪口ではないものとしてのイデオロギー、あるいはイデオロギー論の豊饒。論争的諸関係の真理を示す科学論としての原理的考察と、諸科学・哲学・新聞・大学等々をめぐる具体的現象の考察。 哲学者によるイデオロギー読本。
敗戦後、多大の批判を受けてきた問題の論点。デモーニッシュなる歴史的生命、あるいは、近代日本のパッション。 西田はどう「間違っている」か? 1938.「日本文化の問題(講演版)」 /1940.「日本文化の問題(単行本版)」 1944.「国 体」(哲学論文集第四補遺) /1941.「国家理由の問題」 * 附) 全著書目次一覧=年代順論文リスト、語句・人名索引
西田哲学全体をつらぬく根源的モチーフ、生命。 自己差異化する生命、あるいは、自己矛盾による創造。 1944.「生 命」 1936.「論理と生命」 1932.「生の哲学について」 * 附) 全著書目次一覧=年代順論文リスト、語句・人名索引
BEST OF NISHIDA ―― 有名著作を一冊に 1945.「場所的論理と宗教的世界観」 /1943.「自覚について」 /1939.「絶対矛盾的自己同一」 1938.「人間的存在」 /1937.「行為的直観」 /1934.「弁証法的一般者としての世界」 1932.「私と汝」 /1931.「永遠の今の自己限定」 /1928.「述語的論理主義」 /1926.「場所」 * 附) 全著書目次一覧=年代順論文リスト、自著解説篇、語句・人名索引
距離と原-政治。――秩序=権力論の要諦、タブー 時代が進歩してもあらたに生まれ続ける「タブー」の本質とは何か? その諸相・種類はいかなるものか? 経験的危険回避から、信仰規範をへて、法制化にいたるその「進化」過程はいかなるものか? 「タブー」はいかなる領域に生じるか? 近代日本法学の重鎮が遺した、法人類学的「タブー」論の重要文献。 日本と中国の漢字文化における事例も豊富な、類なき業績。 穂積陳重の連作ライフワーク「法律進化論」中、「タブーと法律」の一篇を単行本化。
「哲学は驚きに始まり驚きに終わる」 『「いき」の構造』で知られる九鬼周造における哲学的主題「偶然性」。 主著『偶然性の問題』以降に書かれた偶然と驚きをめぐる諸論考が、九鬼晩年の到達点「偶然と驚きの哲学」という場所を示す。 それぞれが独立した一本として読める、入門に最適の短篇集。 版元品切 増補新版アリ
噂の真相! 「定番」内藤濯訳は悪訳という噂は本当なのか?「定番」に対抗して続出した新訳はどうなのか? よい翻訳とは先ず第一に正しい翻訳であること。『星の王子さま』を真摯に愛する読者のために、“読み継がれて50年”の「定番」内藤訳と、新訳14点を具体的に検証。 「業界」は読者を欺いていないと断言できるか? 問題箇所を理解して、あなたの手元の『王子さま』を笑顔に変えるガイドブック。
レコンキスタは「聖戦」に非ず 世界の最新研究成果を踏まえ、誤ったレコンキスタ像を修正。 宗教対立ではなく社会経済的要因による領土拡大という真相。 大航海時代に始まる西欧拡張の500年へと向かう、「西欧世界・イスラーム世界境界画定」の500年史。 版元品切
北一輝、大川周明とともに「猶存社三尊」と呼ばれた満川亀太郎の主著 アフリカから太平洋までを括る、世界史概念《アジア》とは何か? アジア主義地域研究の代表作。 今なお引きずる近代アジア地政学問題の起源。類を見ない、網羅的・総体的・個別具体的検証。満川亀太郎、幻の主著、初の復刻(原本1921=大正10年刊)。 (解説)クリストファー・W・A・スピルマン+長谷川雄一
響きあう言葉、師を思う言葉――ひとつの、西田哲学入門 理解しあう師弟ならではの、親密・卒直で、内容と含蓄のある、打てば響く名問答。 著作物としての厳密さの観点から西田全集には収録されてこなかったものの、興味のつきない内容。 ひとつの西田哲学入門として一般読書界に送る小選集。 対談では控えめで的確な問者に徹する三木清の、西田論の全てを併録。
自滅、中断した、世界史的革新理念――新生への指針 十五年戦争期、最も困難な時期において探究された、東アジア協同体、その可能性の中心。 近代的、すなわち抽象的、自由主義的、個人主義的世界主義と対抗ナショナリズムを止揚し、新しい世界主義への道を拓く哲学とは? 関連論考を網羅した、初の三木清「東亜協同体」テーマ選集。
政府監視人、頭山満。 回顧談的一代記。 伝説化、脚色されがちな頭山の、稀少な直話記録集。 ボース救出事件をめぐるボースと内田良平の直話併録。 《私は無精者で、自分の事を話そうと言うて話した事はない。七、八年前、玄洋社の者が、書きたいから話をして呉れと言うたのを書かせなかった。これまで、雑誌や何かの本に出た私閲歴に関した話というのは、大抵また聞きじゃろう。……ま、そうじゃ。これが、自分で自分の事を語る初めてじゃ。》 版元品切
アジア共同の理念に動く―― 「野」には滔天、頭山満、「官」には犬養毅あり 「憲政の神様」と賞賛され、5.15事件の「話せばわかる」伝説の最期で知られる、飄々毒舌、直球型の首相。 山県有朋が「自分のもとを訪れないのは頭山満と犬養毅だけだ」とこぼしたとの話も残る独立志向。 東洋趣味に根ざす政治思想から東アジア再興の経綸を抱き、孫文、ボースらを保護、日中親善に努力した近代日本異色の政治家。その横顔・論点・思想を示す、稀少な「犬養読本」。
人類愛と自国愛。 二つのものか、一つのものか? 二つのJ(JesusとJapan)への愛に生きた内村鑑三のロジックから考える、普遍愛と個別愛の両立性、国と道徳の関係性、国の大小、その盛衰。 「愛国心について」「非戦論と無抵抗主義について」「日本について」「国について」「近代人について」「伝統思想と武士道について」の構成による、愛国心をめぐってのエッセー集。
ホラ丸ワールドの真義と奥義――其日庵叢書第一編+第二編 辛抱の学、法螺の道、借金の業、義太夫、刀剣。 怪人・其日庵杉山茂丸が「暴論」をもって問う開国日本の病理。 近代日本神経衰弱、荒療治。 其日庵流人間学のエッセンス。 附・長文解説「法螺丸の虚実」坂上知之 《解説目次》 法螺丸とは何者か……法螺丸のホラ、その本質……勤王党隠忠派現実主義……座談の魔、著述の魅
儒教+仏教+道教――東洋伝統思想の結晶『菜根譚』の本格的道案内 平凡を愛する穏やかな思想で人気の処世哲学書を読み込む。 前集225条、後集134条、一条ごとに独立した、短文の箴言集。文庫版原典からさらに深く読み進めたい『菜根譚』愛読者のための、儒学と禅仏教に詳しい加藤咄堂による、いま望みうる最も豊かな『菜根譚』読本。
死生観史論の古典―― キーワード死生観はこの書から始まった(解説・島薗進) 伝統的議論の終着点/近代的議論の出発点。 1)武士道の価値観を説きながら、その立場を比較文化論的に定位。 2)科学の時代に武士道死生観を評価する意味のありかを考察。 3)おのおのの死生観を語る先人の生の言葉、詩歌をふんだんに引用。 4)伝統的価値観と今の価値観の分岐点を探るよすがに。
泥をこねて黄金をつくる。 傷ついたままの幸福の技法とは何か? 予備知識不要、ボードレール・ワールドへの直行便。ボードレールの詩作品をふんだんに引きながらのボードレール読み解き旅行。 詩を読むこと、詩を書くこと、この言語行為は人間にとってどんな意味があるのか――ボードレールと考える。
夢野久作、問題の父。 頭山満、無二の盟友。 異形の怪人其日庵、幻の主著完全版。 天使的魔人たち、百魔男女の奇譚集。人間の底力という《魔》を謳う異色文芸、稀世の近代武士道文学。続篇を加えた完全版。 正篇は、著者が交際した同時代人との交友録を中心とした、規格外の人道に生きる百魔男女の、心おどらす物語。 続篇は、著者少年時の思い出と古老の昔語りを中心とした、死生の境を生きぬいた百魔男女の、心に沁みる物語。
アジア的近代文学という論点、戯文という滔天思想の真面目(渡辺京二解説) 《滔天宮崎寅蔵はふつう孫文と親交のある中国革命援助者として知られる。しかし彼には並々ならぬ文才があって、彼が書き遺した戯文は、明治・大正期のわが国の文学において、ひとつの椅子を要求してしかるべきものだと私はずっと信じて来た。》 《滔天に文章の才があったことは明白である。達意にして奇想に富み、歯切れよくしかも賑やかである。たのしんで読むに足る文章であるが、戯文はときに真摯な思考の道具ともなりうる。たのしみつつ、ときには考えを凝らして読んでいただくならば、文章家滔天は泉下にほほえむであろう。》 渡辺京二
『百魔』と双璧をなす、其日庵・杉山茂丸の大作主著 豪快奇談――明治大正、重大国事、秘史外伝。 政財界の舞台裏。縦横の策を講じ、伊藤博文、山形有朋らの元老を、無私の誠で操った、影武者「ホラ丸」回顧録。
『逝きし世の面影』の渡辺京二における根本問題と、滔天の「落花」の人生が響き合う名評伝新版 「情の人、豪傑」と見られがちな宮崎滔天を、デリケートな「知の人」ととらえ、その逆説的な批評精神の真価を、「ワマカシ精神」(己れを馬鹿にしきって、人を馬鹿にし、世を馬鹿にする)をキーワードに描き出す。 渡辺京二のロングセラー『北一輝』と双璧をなす傑作評伝。滔天が中国革命運動の「泥土にまみれる落花」として生きた日本とアジアの維新とはいったい何であるか? アジア共同論の源流――滔天の〈大アジア主義と国家主義を超える視線〉を読み解く。(初版1976年 大和書房刊)
アジア共同論の源流――大アジア主義と国家主義を超える視線 アジア革命への中国革命に挺身した滔天が、フィクションに昇華させたその思想。西欧植民地主義の時代、世界の中でアジアたることは何なのか? この問いをつきつけられて、東アジア共通の大課題を日中民間共同の中国革命として果す試みがあった。あるいはたおれ、あるいは発狂――スケール違いの真摯な面々を謳う滔天一流のリズミカルな節回し。孫文が最も信頼した日本人滔天の隠れた名篇。 熱血少年の晴れやかなビルドゥングスロマン、『明治国姓爺』。 主義・宗教のダークな深みにはまった、ナポ鉄・釈迦安(シャカやす)・道理満(どうりマン)の末路、『狂人譚』。 冗談か? 真剣か? そのスタイルに賭けられた宮崎滔天の批評精神。
西郷南洲思想の継承者が「死生の哲理」西郷思想を読み解く *西郷遺訓全文および夢野久作の頭山満論を併録 民権論で起ち、東洋を侮る西欧列強とそれに追従する日本人への批判勢力のシンボルとして、かつて広く慕われた頭山満。 その言葉を記した往年の談話集数篇よりエッセンスを再構成した言志録。 GHQによる「侵略戦争推進団体玄洋社」の定義に従い闇へと葬られてより半世紀の今、頭山自身の言葉で頭山世界を玩味する入門書。近代日本における超ソロバン主義、反アタマ数主義の意味とは何か? 版元品切
文の雄(新潮社・佐藤義亮) 談の雄(講談社・野間清治) 学の雄(岩波書店・岩波茂雄) 大物たちの無謀な事始めの自伝集――現代出版界の原点確認。 三者三様、各分野で一家をなした三人の、これまで一般の目に触れること少なかった貴重で面白い体験談を収録。 出版業界の「素人」、そして若輩こそがなしえた偉業の原点とは? 百年の歴史を経て今なお堂々たる大版元の業界三大個性が、その「始まり」において共有するものとは? ハウツー編集・出版論ではない、時代をつらぬく根元の話。
安藤昌益/歴史の概念/科学的方法に拠る書画の鑑定と登録 安藤昌益の発掘者が遺した不朽の古典的名エッセー「安藤昌益」 「昌益に関心をもったら先ずこれを」という基本文献とされながら、手に入れにくかった「安藤昌益」ほか。一冊の著書も遺さずして、称賛され続ける百科全書的碩学の珠玉エッセー小選集。 のちに関東大震災で焼失してしまう『自然真営道』原稿本全百巻を発掘・所持・精読した碩学狩野だけが書きえた、簡潔で深みある昌益思想への永遠のイントロダクション。 「官」を厭い、一高校長~京大学長の一流コースに43歳で断然訣別した奇人。物理学的実証精神により歴史・哲学・宗教・心理・芸術・政治を貫く稀代の思想。――争いを用いずに不正を抑えるコツとは何か?
「次はイラン」――アメリカの覇権主義に徹底して抗うイランとはどんな国なのか? この四半世紀のイランを観察し続けてきた研究成果と、19世紀以来の歴史を踏まえ、イスラーム革命とイラン・イラク戦争の原因を歴史学的、政治学的に分析。 1979年ホメイニー革命以降のイラン・イスラーム共和国の困難な歩みを国内政治、国際政治の両面からとらえ、複雑な事情を抱えるその姿を総合的に呈示する初の成果。 米国の国際行動を見通すうえで不可欠の論点、“悪の枢軸、大国イラン”。“保守派”、“改革派”等、国内のせめぎあいの現実も詳しく紹介。(附・主要人物紹介・年表)
ブランショのDNA『謎の男トマ』が読める(全面改訳)! 鬼才モーリス・ブランショの代表的中・短篇小説選。 言葉と恋と死の話。 言語と人間存在をめぐる謎の海へと回帰する、カタストロフィックな創世記。ここから「ブランショ」が始まる代表作中の代表作『謎の男トマ』。読みやすさで人気のある『死の宣告』『永遠の繰言』。 永遠の再読を促す、小説という姿の哲学。ブランショ小説との出会いのためのセレクション。 版元品切
北一輝の姿をつかむ基本選集。
『国体論及び純正社会主義』発刊=発禁から百年。日本近代権力の頂点に抗い続け、終には命をとられた民間人。状況批判のみならず代替案を示し行動した稀代の実践知性。百年の距離をおいて再考に価する、日本近代史上に類なき問題の遺産。 初の新漢字・ひらがな表記補助ルビ使用等で読みやすい現代版。
イスラームとは何を考え、何を実践するものなのか? 十数言語に翻訳される、世界で最も定評ある正確な入門書。 クルァーン(コーラン)からの引用をまじえ、キーコンセプトを具体的にバランスよく紹介。 イスラーム諸学に精通したムスリム法学者が、パリ・イスラーム文化センターの求めに応じ、一般向けの文明紹介として書き下ろした名著。イスラームの日々の行ないの実際と、イスラームの歴史を具体的に詳述。 書き手の問題関心に限られたイスラーム入門書が多いなか、最高水準の知識と、長年の西欧生活で体得した「他者の視線」を兼備した、稀代の総合的概説書。
モーリス・ブランショの小説作品、最後の初訳出版。数あるブランショの小説作品の中で、言語の謎を探究するブランショの個性がもっとも研ぎ澄まされたかたちをとった、哲学小説。 〈私〉と言葉のあいだで不確定に錯綜する、主体・人称、時、空間。〈私〉と〈私である彼〉とのダイアログ。 ブランショ論者・訳者として確かな歩みを重ねてきた訳者による澄明な翻訳と、“ブランショ・漱石・類似”をめぐる長篇解説「全能にして無力な語り手(たち)」を付した、ブランショ読解をめぐる新たな一歩。 普通のことが普通でなくなる普通の言葉で書かれた世界で、静かな静かな狂気に耳を澄ます。――「私についてこなかった男」とはいったい誰なのか?
「なぜなら時間とはいのちだからです。そしていのちは心に住まうのです。」(ミヒャエル・エンデ『MOMO』) 時間とお金がもっている、よく考えれば不思議でもあり恐ろしくもある「神秘」の正体とは? 「仕事への引きこもり」と「自室への引きこもり」へと世間が二極分化し、そのはざまでフリーター、うつ病が増加している……。身近でも世界でも世の中がイライラしていることの深いわけを、エンデの『モモ』といっしょに、「経済・社会・文化の問題」=「時間の問題」として考えてみませんか? 「価値形態論」と「物象化論」の視角もまじえたユニークな本格謎解き。 『モモ』の語りとエンデの語りをひきながら、『モモ』未読の人も「なるほど」と読める、『モモ』的世界像への招待。 「時間がない」とはどういうことなのだろうか?*ミヒャエル・エンデ(1929-95)歿10年記念*
黒田壽郎・眞田芳憲・陶常道・櫻井秀子・北村文夫・黒田美代子 著 アメリカ単独主義の《大中東構想による民主化》は無事達成できるのか? 全中東のパレスティナ化に至ってしまうのか? 焦眉の中東問題の世界史的深層へ。 パレスティナ問題の発端から中東戦争、湾岸戦争、9.11テロ、アフガン・イラク侵攻~復興まで。 現地の立場をよく知る執筆陣が、アメリカの武力行使とイスラームの関係、中東問題の根源にある「イスラエル問題」、現地に生きる人びとの歴史・現状と状況認識などの論点を掘り下げ、イラク復興やパレスティナ問題の今後を展望。
言葉で言葉を超えることは可能か? 誰もかなわない、文学=哲学の極点、モーリス・ブランショ、『文学はいかにして可能か』。 『O嬢の物語』の実作者と長く噂された文学界の伝説的黒幕ジャン・ポーラン、『タルブの花』。「文学はいかにして可能か」は暗号で書かれた政治的テクストでもあるという、内田樹の的確・大胆な読み。 法=掟と自由、共同体なき共同体、コミュニケーションの不=可能性……、逆説に満ちたブランショ的反抗の核心に、ブランショ初期からの言語についての徹底的な思索が埋め込まれていることを示す、ブランショワールドの始原へのいざない。小社オリジナル作品選。
地図の町とは似ても似つかない、ひとの数だけある心のなかの町のかたち。 少年と町、そして心の形成と変容をめぐっての、エキセントリックでも相対主義的でもない思想とリアリティ。 ゴンクール賞受賞拒否事件で知られる、地理学者でもあるシュルレアリスム系の文豪、後期主著初訳。 自己の過去と取り結ぶユーモアある清々しい関係が、「過去→現在→未来」の常識を一新し、自己と世界をつくりかえてゆく。 「少年と町」の記憶と無数の文学作品の引用が呼応する、創造的な思い出の旅。
井筒俊彦以後のイスラーム文明・経済論の画期作。世界史の今をとらえるための、「教養としてのイスラーム理解」の新しいスタンダード。イスラームという文明の営みの全体的な「構造」を発見。これまでの各論的なイスラーム宗教論や哲学論、地域限定的・時代限定的なイスラーム論に一線を画す。 タウヒード(世界観・存在論=価値観の基本)、 シャリーア(法律・経済=社会運営)、 ウンマ(共同体=共に生きるかたち)の有機的連関がつくる 三極構造を明快に説く、世界にも類を見ない成果。 構想十年、満を持しての体系的書下ろし、ついに刊行。